新事業承継税制 特例承継計画や認定支援機関のマニュアル公表②
2018/05/30
中小企業庁はこのほど、同庁のホームページ上で、「特例承継計画に関する指導及び助言を行う機関における事務について」と題したマニュアルを公表。前回の「税務ニュース」では、都道府県に提出する特例承継計画の内容や認定支援機関による指導・助言の記載例などを取り上げたが、今回は雇用が減少した場合の指導・助言について取り上げる。
従来の制度では、認定を受けた中小企業者は、5年間で平均8割の雇用を維持することができなかった場合は認定取消しとなったが、今回の改正では、雇用が8割を下回った場合でも認定取消とはならない代わりに、その理由について都道府県に報告を行わなければならない。
その報告に際し、認定支援機関は、雇用が減少した理由について所見を記載するとともに、中小企業者が申告した雇用減少の理由が、経営悪化あるいは正当ではない理由によるものの場合は、経営改善のための指導・助言を行う必要がある。
具体的には、平均雇用人数の5年間平均が8割を下回った理由について、次の①から⑤の中から当てはまるものを選択し、それが事実であるかどうかを確認後、所見を記載することになる。マニュアルでは、①から⑤の理由とともに所見等の記載のポイントがまとめられている。
①高齢化が進み後を引き継ぐ者が確保できなかった。
⇒ 退職理由を確認し、雇用人数減少の主たる理由が高齢化による退職であることを確認する。
②採用活動を行ったが、人手不足から採用に至らなかった。
⇒ 過去の求人状況(人材紹介会社やハローワーク等への求人状況や、自社広告等)を確認し、雇用人数減少の主たる理由が採用に至らなかったためであることを確認する。
③設備投資等、生産性が向上したため人手が不要となった。
⇒ 設備投資等の状況を確認し、雇用人数減少の主たる理由が生産性向上によるものであることを確認する。
④経営状況の悪化により、雇用を継続できなくなった。
⇒ 経営状況が悪化した理由について確認する。
⑤その他(具体的に理由を記載)
⇒ 雇用人数減少の主たる理由が当該具体的な理由であるかどうかを確認する。
④を選択した場合、認定支援機関は、会社の経営改善のための指導・助言の内容を記載しなければならない。また、⑤を選択し、その具体的な理由が認定支援機関として正当でないと判断する場合は、その正当でないと判断する理由を記載するとともに、中小企業者が事業を継続していくための指導・助言の内容を記載することとなる。